Australian Embassy Tokyo
在日オーストラリア大使館

サイモン・バーミンガム貿易・観光・投資大臣 日豪経済閣僚対話ビジネスランチでの挨拶

2020年1月10日

 

メルボルンにて

 

(内容変更の可能性あり)

 

本日の会合が行われている土地の伝統的な管理者であるクリン族の重要性を認め、過去、現在における彼らの長老たちに敬意を表します。

メルボルンのこの場で、同僚のマット・キャナバン資源・豪北部担当大臣、ティム・パラスビクトリア州財務大臣、及び全ての皆様と共に、梶山弘志経済産業大臣をオーストラリアにお迎えできるのを嬉しく思います。

また、ここメルボルンを含め、森林火災の犠牲となったご家族、地域の皆様に謹んでお悔やみ申し上げます。

私たちは、復興や再建を目指す人々と心を分かち合っています。日本から来られる方々は、この点で重要な役割を果たしてくれるでしょう。

多くの財界トップや企業、地域社会のリーダーをはじめ、この困難な時期に支援のメッセージを下さった日本に感謝いたします。

モリソン首相は安倍首相からの支援のメッセージ、及び今月予定されていた自身の訪日延期に対する日本のご理解に感謝しています。

オーストラリアと日本における特別な戦略的パートナーシップは、かつてない程深まっています。

両国は共通の価値観を分かち合い、深い人的交流を育んでいます。

長きにわたる貿易・投資面でのつながりは、日豪関係の基礎を成しています。

両国は5日後、二国間における日豪経済連携協定(JAEPA)の発効5周年を祝います。

同協定の発効以来、両国間の往復貿易は約26パーセント増え、2018−19年には史上最高の885億豪ドルに達しました。

本日この場に財界パートナーの皆様がお集まり下さったことは、両国の多面的なビジネス関係の力を強く示すものです。

その中心には、信頼を土台にした絆があります。

こうした信頼により、両国はビジネス分野のイノベーションや協力といった分野で、新境地を開くことが可能です。

ビジネス関係における最近の出来事を振り返りますと、三菱UFJ信託銀行によるコロニアル・ファースト・ステート子会社の買収、日本ペイントによるDuluxの株式取得、アサヒグループホールディングスによるカールトンの買収計画、TAL Dai-ichi Life Australia(第一生命ホールディングス豪州子会社)によるSunscope Life & Superannuationの子会社化が挙げられます。

こうした投資やビジネスのパートナーシップは、農業や国際石油開発帝石(INPEX)をはじめとするエネルギー・資源、国際教育、観光などの分野に及ぶ、近年の広範で著しい進展を基盤としています。

キャナバン大臣と私は本日、わが国の勤勉な役人と共に、梶山大臣並びに来豪された皆様とご一緒し、経済閣僚対話の成功を実現させています。この会合は、両国の経済・貿易関係に戦略性を与えます。

この大切な対話を通じ、オーストラリアと日本は開かれた、包摂的なインド太平洋地域を作るための協力を深めています。

私たちはとりわけ、地域の繁栄を支える経済枠組みを強化する必要性について話し合いました。

環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)の施行と拡大に向け、日豪は引き続き協力を行っています。

私たちはまた、画期的な地域の貿易枠組み協定である、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結にコミットしています。

オーストラリアと日本は共に引き続き、インドが本協定に参加できるための扉を開けています。私たちは未解決の課題に取り組むべく、インドや他のRCEP参加国と協働する点に力を入れており、願わくば2020年、インドにも他国と共に署名してもらいたいと思います。

私たちは本日、世界貿易機関(WTO)を中心として、強固で信頼できるルールを基盤とした多国間貿易制度を目指すという共通の決意を重ねて表明しました。

こうしたルールは地域や世界の繁栄に欠かせない、自由で公平な貿易を生み出します。

WTOの紛争解決制度が機能すれば、ビジネス界は国際貿易や投資を自信を持って実行できるようになります。

こうした理由から、WTO上級委員会が機能不全の時、貿易ルールを執行できる暫定的措置を検討する一方、同委員会をめぐる難局に対する多国間での解決に力を入れる点を強調してきました。

また、両国経済のデジタル化について協議し、予測可能なインターネット環境を支える貿易ルールの確立に、引き続き指導力を発揮すると誓いました。こうした環境は越境データの流通を促し、プライバシーを保護すると共に、重要な技術を違法行為、または悪用から守ります。

私たちはインド太平洋地域における、国際標準に沿ったインフラ投資促進の重要性についても議論しました。これには日本が先導・支持する、質の高いインフラ投資に関するG20原則が含まれます。

両国間のいかなる議論においてもエネルギーは大きな比重を占めますが、本日も例外ではなく、キャナバン大臣はエネルギー・資源についての議論を主導しました。

オーストラリアによるエネルギー輸出は日本で現在、一日の約8時間の発電分に相当します。私たちは将来においても、信頼できるエネルギー・資源の担い手であり続ける所存です。

気候変動への対応に役割を果たす地球市民として、私たちはまた、水素のような新エネルギーの開発を通じ、世界のために低排出への道筋の実現を先導する上で協力しています。

ビクトリア州のパラス財務大臣が先に述べた、革新的な水素エネルギーサプライチェーンプロジェクトは、国際的なエネルギーサプライチェーンを一から構築する取り組みの一環であり、日豪協力の可能性を示すものです。

加えて、オーストラリアから日本へ液体水素を輸送する世界初の運搬船を、最近進水させた川崎重工に祝意をお伝えします。

梶山大臣とキャナバン大臣が先程署名した、水素・燃料電池分野の協力に関する共同声明は、両国の進展とさらなる協力の余地を示すものです。

私たちは本日午後より、モナシュ大学を訪問します。ここではウッドサイドエナジーとの連携により、水素や炭素削減技術を対象とした最新の研究が行われています。

また私たちは会談を通じ、レアアースや重要鉱物の大切さや、地域サプライチェーンの強化における協力の機会を認識しました。

さらに本日、主要部門における企業支援をさらに促進する、貿易投資促進庁(オーストレード)と日本貿易振興機構(JETRO)間の覚書を改訂しました。

こうした主要部門には、水素やアグリビジネス、インフラ、イノベーションが含まれます。

ご存知のように、本日の議論は充実した内容でした。オーストラリアと日本の関係は同時に個人的であり、草の根交流やつながりに依っています。

例えば、Jリーグで優勝を飾った横浜F・マリノスを祝福したいと思いますが、同チームの監督はオーストラリア人のアンジェ・ポステコグルー氏です。

ここから窓越しに見えるテニス会場で、昨年冬の全豪オープンを制した大坂なおみ選手は、ブリスベン国際にて準々決勝に勝ち進みました。

東京が今年7月の開催準備を進める中、オーストラリアの選手がオリンピック大会で同様の成功を収めると信じています。

したがって、この会場全体、また優れた両国の隅々に存在するこうした力強いパートナーシップに感謝致します。どうも有難うございました。