オーストラリア・ハウス
オーストラリア・ハウスは、美しい大地の芸術祭の里の懐に抱かれた、オーストラリアの情報発信基地であり、また日豪交流の拠点です。
オーストラリアは、大地の芸術祭の「人間は自然に内包される」という理念に強く共感し、2000年の第1回以来毎回芸術祭に参加してきました。その間、継続してきた越後妻有地域との交流の結晶として、2009年にオーストラリア・ハウスは誕生しました。初代の建物は、空家となっていた新潟県十日町市浦田の伝統的な地域の民家を改装して蘇らせたもので、そこでは在日大使館を始めとするオーストラリア政府の支援を受けながら、地区の住民やサポーターとの協働によってアーティスト・イン・レジデンス・プログラムが活発に展開されていました。この建物は、2011年3月12日の長野県北部地震によって全壊しましたが、日豪から再建を望む声が高まり、オーストラリア・ハウスは再生されることになりました。
2代目で、現在のオーストラリア・ハウスは、従来の機能に加え、日本の震災からの復興の象徴として、防災性や環境への配慮がなされた建物となりました。そして安藤忠雄氏(建築家)を審査委員長とする国際コンペティションにより選定されたオーストラリアの建築家のデザインに基づき、日本の建築家、十日町市、地域住民、オーストラリア政府などの力を結集して建設され、2012年の大地の芸術祭の中心的な作品の一つとしてオープンしました。また恒久作品として2020年シドニー・ビエンナーレ監督に選出されたオーストラリア先住民アーティスト、ブルック・アンドリューの「ディラン・ンラング-山の家」が設置されました。
建物は2013年に、オーストラリア建築家による優れた海外プロジェクトに贈られるヨーン・ウッツォン賞を受賞しています。オーストラリア・ハウスは豪雪や地震など厳しい自然環境の中でも、人々の結びつきによって温かく地域に根ざした場になることを目指しています。アーティスト、キュレーターや学生が滞在・制作・発表を行うレジデンシー、オーストラリアの多面的な文化の情報発信基地、日豪の様々なコミュニティーの交流施設といった多様な機能を持ちながら、オーストラリア・ハウスは国際社会との対話の場を構築・提供しています。
また、時期によっては、宿泊施設としても一般の方にご利用頂けます。
詳しくは大地の芸術祭の里のウェブサイトおよびオーストラリア・ハウス公式Facebookをご覧ください。
越後妻有とオーストラリア
オーストラリアは2000年の第1回大地の芸術祭から毎回参加し、越後妻有と深く関わってきました。
それはまず、多くのオーストラリア人が「人間は自然に内包される」という芸術祭の基本理念に深く共感したことによります。日本有数の豪雪地帯であり、緑の里山が美しい越後妻有と、国土の3分の2以上を砂漠が占めるオーストラリアの風景は異なるものです。しかし、越後妻有の人々が祖先の知恵を受け継ぎながら厳しい自然環境と共存してきた点は、6万年前からオーストラリア大陸に暮らしてきた先住民達と共通しています。また、大地の芸術祭の里の目指す「世代、地域、ジャンルを超えた協働による地域の再生」は、21世紀の多民族国家として様々な人が違いを乗り越えて共に暮らすオーストラリアにとっても、示唆に富んだものとなっています。
オーストラリアと大地の芸術祭の里への参加の歩み
2024年
第9回大地の芸術祭
- ローレン・バーコヴィッツ「残り物」
2023年
- マーティ・ヒックス、ホロベック、松丸契がオーストラリア・ハウスでレコーディング
2022年
第8回大地の芸術祭
- エレナ・ノックス「あざらし話」
- ジャネット・ローレンス「水の博物館」
- ホセイン・ヴァラマネシュ 追悼メモリアル
2019年
- エレナ・ノックスがレジデンス
2018年
第7回大地の芸術祭
- ホセイン・ヴァラマネシュとアンジェラ・ヴァラマネシュによる恒久展示作品「ガーディアン」、「You are here, Tokamachi Samue」
- 「イダキ:ディジュリドゥ、オーストラリア大地の音」展
オーストラリア国立博物館と南オーストラリア博物館により、オーストラリア外務貿易省の「オーストラリア now」の一環として、巡回。
- スー・ペドレー+岩城和哉+東京電機大学岩城研究室「みずたどり」
2017年
- リアム・マガバンがレジデンス
- ジアーウェイ・チューがレジデンス
2016年
- ウェンディー・ティークルがレジデンス
- マーヴィン・ストリート、ジョン・ナーグーダ、カーティス・テイラー がオーストラリア国立博物館マイケル・ピッカリングとともに「アボリジニ・デイin越後妻有」に参加
2015年
第6回大地の芸術祭
- SNUFF PUPPETS 「越後妻有の巨大パペッツ」(アンディー・フリーア、ニック・ウィルソン、ステファーン・ヒズラー、ロズリンド・ホール)
- 「イウォラ クジュー キャニング・ストック・ルート展」のパネル展示
2013-2015年
- ハイディ・アクセレーゼン、ヒューゴ・モリーン、ネーサン・ホークス「2000のわらじと200の足」
2012年
第5回大地の芸術祭
オーストラリア・ハウス再生
- アンドリュー・バーンズ、アトリエ・イマム(今村創平)と山本想太郎設計アトリエ(山本想太郎)「オーストラリア・ハウス」
- ブルック・アンドリュー「ディラン・ンラング-山の家」
- アンドリュー・リワルド「故郷を感じる」
ユランダ・ブレアがコーディネーターとしてレジデンス。
- ジェレミー・バッカー、ロス・クールター、アンジェラ・パイ「両手の中の空間」を越後妻有雪アートプロジェクトにて実施
2011年
- キム・アンダーソンがレジデンス
2010 年
- モード・バース、クリス・タグウェルがレジデンス
- JAAMプロジェクト (日豪学生交流レジデンス)(フィオナ・リー、ネリダ・アクランド、マンディ・フランシス、アン・グラハム、福井 ひとみ、千ヶ崎 慶一、下條 紗恵子、野田 裕示、開発 好明、北村 奈津子
2009年
第4回大地の芸術祭
オーストラリア・ハウス設立
- ルーシー・ブリーチ「オーラル・ファイバー」
- アレックス・リツカーラ「日本美術陳列室」
- リチャード・トーマス「OIKOS」
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館のアンソニー・ボンド副館長が越後妻有トリエンナーレのアート・アドヴァイザーとして貢献。
2006年
第3回大地の芸術祭
- アン・グラハム「フィッシング・ハウス」
- ダダン・クリスタント「カクラ・クルクル・アット・ツマリ」
- スー・ペドレー「はぜ」
- ベン・モリエソン「バーン・アウト2006 ラジオ・コントロール・イン・越後妻有」
メルボルン市パブリック・アート・プログラム担当のアンドレア・クレイストがコーディネーターとしてレジデンス。
2003年
第2回大地の芸術祭
- アン・グラハム「スネーク・パス」
- ナイジェル・ヘリヤー「アメリカ米万歳」
- ジャネット・ローレンス「エリクシール/不老不死の薬」
- ローレン・バーコヴィッツ「収穫の家」
- ロビン・バッケン「米との対話」
- オーストラリア・アボリジニ現代美術展「精霊たちのふるさと」を「森の学校」キョロロで開催。
オーストラリアのインディペンデント・キュレーター、サリー・コウコードが、短編ビデオ・フェスティバルサリ審査員に。
地球環境セミナーで、オーストラリア国立博物館館長(当時)ドーン・ケイシーがパネリストに。
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館のキュレーター(当時)アンソニー・ボンドが越後妻有アート・シンポジウムに参加。
2000年
第1回大地の芸術祭参加作家