2008年のイベント
瀬戸国際セラミック&ガラスアート交流プログラム2007-2008
2008年1月10日-4月13日
愛知県瀬戸市主催の「瀬戸国際セラミック&ガラスアート交流プログラム」に、キャンベラを拠点に活動するガラス作家、エリザベス・ケリーが招聘されます。
瀬戸市では2000年から5年間「アーティスト・イン・レジデンス in SETO」の名称で陶芸・ガラス作家の滞在制作プログラムを開催してきました。2006年度からは年4人の作家を2期に分けて招聘する現在の形となりました。
エリザベス・ケリーの作品は、手作りに起因する微妙な差異を持つ同じ形態の反復と、色彩の豊かさが特徴。その作品は現代社会における個と集団の関係を反映し、ガラス素材の脆さと透明性が彼女の作品を一層意味深いものにしています。
今回の瀬戸市滞在中は、人と人との関係性を考える代表的な作品シリーズ「シティ・オブ・グラス」の瀬戸版を制作予定。45日間におよぶ瀬戸市新世紀工芸館での制作のほか、本プログラム中にはスライドレクチャーや公開制作を行い、作品制作に対する考えや態度を作家から直接聞く機会が用意されています。また、作家帰国後も、滞在中に制作された作品が他の招聘作家の作品と共に瀬戸市美術館で展示されます。
ケイ・グリーン個展
2008年2月6日-20日
オーストラリア・タスマニア出身の画家ケイ・グリーンの新作版画展。交換留学生として来日した時に触れた日本の伝統文化に触発され、アートの世界へ。日本庭園、盆栽、日本間、畳、着物…。日本人自身が忘れかけているような伝統的な美への彼女の高い意識の中から生まれてくる作品の数々は、日本をはじめヨーロッパ、北米、そしてオーストラリア各地において高い評価を得ています。
彼女の作品にはオーストラリアの雄大な自然が描かれているだけでなく、日本文化から学んだ繊細な作家の感性が映し出されています。とりわけ彼女が惹かれた日本の心とは、禅の精神でした。彼女の作品の中から、オーストラリアの大自然と湧き出てくる彼女の内面を感じ取ってください。
アジア・アート・ネットワーク シンポジウム:「これからの美術館とは」アジア、オセアニアの視点から
2008年2月16日
トヨタ財団助成プロジェクト「アジア隣人ネットワーク」アジア・アート・ネットワーク・シンポジウム
2006年から続いているトヨタ財団の助成プログラム「アジア・アート・ネットワーク」は、これまでにアジア各国のキュレーター、研究者、アーティスト等と交流する活動を展開しながら、アジアにおける美術のあり方、文化的インフラとしての美術館等の機関のあるべき姿を模索してきました。
今回のシンポジウムでは、これまでの調査・交流の成果を踏まえて、中国とオーストラリアから美術を支える立場にある第一線の方々を招き、アジアの美術の現況と将来についてディスカッションします。シンポジウム終了後には交流会も予定されています。(英語、中国語には日本語逐次通訳あり)
Suhanya Raffel
クイーンズランド・アート・ギャラリー アジア美術部上席学芸員
スリランカ生まれ。シドニー大学にて芸術学およびミュージアム・スタディーズの学位を取得調査員を経て2001年より現職。「アジア太平洋現代美術トリエンナーレ」を手がけるほか、「Lines of Descent」(2000)など、アジアの現代美術に関わる展覧会を多数企画。
楽天団公演「ゲアリーズ・ハウス」
2008年2月20日-26日
オーストラリアの作品を数多く日本に紹介している演劇企画集団・楽天団の新作は、オーストラリアの人気作家、デボラ・オズワルドの作品「ゲアリーズ・ハウス」。荒野で一人きりで家を建てようとしているゲアリーと、彼を取り巻く人々の物語です。
ストーリー
オーストラリアの人里離れた奥地。ゲアリーは、父親が遺してくれた辺ぴな土地に一人で家を建てている。年の離れた若い恋人、スー・アンは気まぐれでいつも文句ばかり言っているが、家庭に恵まれなかった彼は、彼女ともうすぐ生まれてくる子供のための新居に夢を託している。一方、隣人のデイヴは、自分の父親の残した全焼した家で一人で生活している。根っからの放浪者の彼は、ゲアリーの作業を手伝おうとは決してしない。
そこへゲアリーの姉クリスティンが現れ、その土地は姉弟二人に遺されたものであることが発覚する。クリスティンは権利の半分を要求し、土地を買い取る金を持っていないゲアリーは、自分の夢を脅かされて動揺する。姉との対立、恋人との口論… ゲアリー自身の中での緊張は高まっていく。皆の夢と希望を抱えた家が完成する日は来るのだろうか?
エミリー・ウングワレー展/アボリジニが生んだ天才画家
2008年2月26日-7月28日
20世紀を代表する抽象画家の一人、エミリー・ウングワレーの世界を本格的に紹介する展覧会「エミリー・ウングワレー展 アボリジニが生んだ天才画家」が、大阪・国立国際美術館にて2008年2月26日(火)〜4月13日(日)まで開催され、2008年5月28日(水)〜7月28日(月)まで東京・国立新美術館で開催されます。西洋美術との接点がない所で生まれた彼女の作品の数々は、その自由で革新的なイメージが世界中から驚きをもって迎えられています。
みどころ
エミリー・カーメ・ウングワレーは、アボリジニを代表する画家であると同時に、20世紀が生んだもっとも偉大な抽象画家の一人であるというべきでしょう。オーストラリア中央部の砂漠で生涯を送った彼女の絵画が示す驚くべき近代性は、西洋美術との接点がまったくなかったことを考えるなら、奇跡的にさえ思われます。
彼女は1970年代の後半にバティックの制作を始めますが、何といっても注目されるのは89年から96年に86歳で没するまでの8年間に描かれた3, 4千点に及ぶアクリルの作品です。それらの画面はしばしばポロックらのアメリカ抽象表現主義との共通性を指摘されています。しかし最晩年の長さ8メートルに及ぶ大作《ビッグ・ヤム・ドリーミング》(1995年)のネット状のイメージが自生するヤムイモをモティーフにしているように、実のところはいずれも画家が住む土地の動植物などから広がった夢でもあるのです。砂漠が生んだ天才、エミリーの世界は私たちに大いなる感動をもたらすに違いありません。
本展日本側監修
国立国際美術館館長
建畠 晢
エミリー・ウングワレー
エミリー・カーメ・ウングワレー(1910頃 - 1996)はその生涯をシンプソン砂漠の端にある「ユートピア」と呼ばれる地区で送りました。アリススプリングスの北東230kmに位置するユートピアは、エミリーの作品が人気を博した美術界からは遠く隔たったところにあります。エミリーの作品は、故郷であるアルハルクラの土地に深く根ざしており、彼女は終生、儀礼や歌、踊り、絵画制作を行うことを通じてアルハルクラを称えました。
数十年にわたり人間の身体や砂の上に装飾的な模様を施していたエミリーは、1977年からこれらをバティック(ろうけつ染め)によって表すようになります。1988年からはカンヴァスの画面に描くことを始め、最初のカンヴァス作品《エミューの女》(1988 - 89、ホームズ・ア・コート・コレクション蔵)は人々に大きな衝撃をもたらしました。
その後1990 - 91年にはシドニー、メルボルン、ブリスベーンで個展が開催され、1992年にオーストラリアン・アーティスツ・クリエイティヴ・フェローシップを受賞します。1997年にはヴェネツィア・ビエンナーレのオーストラリア代表に選出され、翌年1998年にはオーストラリア国内を巡回する大規模な回顧展が開催されました。
Margo Neale
Principal Advisor to the Director and Senior Curator (Indigenous)
National Museum of Australia
【主催】
国立国際美術館(大阪展)
国立新美術館(東京展)
読売新聞社
【企画構成】
オーストラリア国立博物館(NMA)
アーティスト・ファイル2008 - 現代の作家たち
2008年3月5日-5月6日
オーストラリアの女性写真作家ポリクセニ・パパペトルーの他、8名の現代アーティストを紹介
「アーティスト・ファイル」展は、現在の --そしてこれからの-- 美術動向を、国立新美術館が独自の視点で切り取って、毎年定期的に紹介していく、新しい展覧会プロジェクト。特に決まったテーマを設けることなく、推薦する作家、紹介したい作家を持ち寄ったなかから、今回は8名の作家が選び出され、グループ展が構成されました。参加アーティストはオーストラリアの女性写真作家であるポリクセニ・パパペトルーをはじめ、エリナ・ブロテルス、市川武史、ポリクセニ・パパペトルー、佐伯洋江、さわひらき、白井美穂、祐成政徳、竹村京。
ヨルク・シュマイサー銅版画展「The softer line」
2008年3月8日-23日
現代版画の巨匠ヨルク・シュマイサーの京都滞在を締めくくる記念展
現代版画の最高峰として国際的に活躍するヨルク・シュマイサー。自身の「旅」の経験と記憶を銅版に刻んだイメージは、目にも綾な一大絵巻を織り成します。今春で京都市立芸術大学教授を退任するのを受けて、作者の6年間におよんだ京都での生活を締めくくる記念展が開催されます。
時の経過という事象に対峙する自己の内面の変遷をエロティシズム幻想に投影した作例や、当時まだ訪れたことのなかった中国をテーマにした作品など貴重な約40点を自選。別離や新たな旅立ちを詠んだ李白の詩の題名を付した作品も展示されます。
姉妹都市ウーロンゴンからの贈りもの〜東京交響楽団 川崎市民コンサート
2008年3月25日
オーストラリア・ウーロンゴン市と川崎市との姉妹都市交流20周年を記念して、ウーロンゴン市出身の若手ピアニスト、ジェシー・ピナッツァを特別ゲストに迎えてのコンサートが開催されます。飯森範親の指揮のもと、川崎市のフランチャイズ・オーケストラである東京交響楽団と共にモーツァルトのピアノ協奏曲第20番をおおくりします。
シドニーの南約80kmにあるウーロンゴン市は、海や山など美しい自然に恵まれたリゾート地。また製鉄など重工業の町としても知られていますが、近年ではハイテク産業など幅広い分野での開発が進められています。川崎市とは1988年5月より姉妹都市提携を結んでいます。
クイーンズランド・バレエ団 日本初公演
2008年4月5日-8日
クラシックからモダンバレエ、子供も含めて家族全員で楽しめる作品まで、豊富なレパートリーと高い芸術性を誇る、オーストラリア有数のバレエ団が初来日。これまでにもオーストラリア国内やアジア各国で多くの観客を魅了し、2006年1月には初のヨーロッパ・ツアーを成功させ、バレエ発祥の地において観客・評論家から大絶賛を浴びました。芸術監督のフランソワ・クラウスは、ハンブルグ・バレエ団のプリンシパル・ダンサーとして活躍した経歴を持ち、クイーンズランド・バレエ団の現職に就いてからも様々なアワードを受賞しています。
今回の初来日公演では、アンデルセンの有名な童話『人魚姫』を原作としたオリジナルバレエ作品『リトルマーメイド』を上演します。大人から子供まで、家族全員で楽しめる作品です。
エミリー・ウングワレーを超えて〜オーストラリア・アボリジニアートの世界
2008年5月29日-6月13日
大阪・国立国際美術館を経て、現在東京・国立新美術館で開催中の「エミリー・ウングワレー展 アボリジニが生んだ天才画家」にあわせ、彼女とその後継者たちの作品の展示会が東京のヒルサイド・フォーラムで開催されています。ニューサウスウェールズ最大のアボリジニ画廊、クーイー・アボリジナル・アート・ギャラリーによって紹介される今回の作品は、購入が可能です。
草の種、ブッシュの果実、どこまでも広がる青い空、砂漠にしか見られない強烈な光、オレンジ色に輝く赤土、やわらかな黄緑色の草、白いユーカリの木、プラムの白い斑点状の花、ブッシュ・ターキーが砂に残す足跡、春に咲く虹色の花など、ユートピア地方の風景の中にある季節の移り変わりもまた、これら女性アーティスト達の作品に反映されています。作品は同時に、太古からの掟や文化をつなぐ対話、或いはそれを現代の言葉に置き換えたもの、さらには文化や地理、社会、宗教の壁を打ち破る言語といえるでしょう。
『ダイヤモンド・ドッグ:多文化を映すオーストラリア短編集』刊行記念シンポジウム
2008年5月30日
多文化社会オーストラリアの文学と表現
「ダイヤモンド・ドッグ:多文化を映すオーストラリア短編集」
かつてヨーロッパ文化を主流としていたオーストラリアは、1970年代から多文化主義を導入し、現在では西洋東洋を問わず、さまざまな文化が共存する多文化社会を形成しています。その結果、従来の規範にとらわれない、実験的で斬新な作品が、さまざまな分野で生みだされています。
今回ご紹介する刊行本は現代企画室から出版されます。尚、この短編小説は豪政府の日豪両国の交流を促進する中心機関、豪日交流基金の出版助成を受賞した作品。16人の作家を取り上げていますが、今回2名の作家が豪より来日し、翻訳を担当した日豪の学者、見識者および専門家をパネルに表現の未来について考察します。
映画『ブルーブルーブルー』
2008年6月7日
シドニーから北へ160km、大きな波が一年中楽しめるビーチで有名な街、ニューカッスル。そんなローカルな港町で仲間とサーフィンに明け暮れる少年たちの姿を描いた青春映画「ブルー・ブルー・ブルー」が、世界に先駆け、6月7日(土)よりロードショー公開されます。厳しい現実に直面しながらも、爽やかでひたむきに生きる姿が感動を呼ぶ本作。開放感溢れる音楽と、一流のサーフィン撮影監督ティム・ボニーソンが魅せる波の映像が、観る者すべてを海の世界に巻き込みます。
ストーリー
自然に囲まれた世界一大きな島、オーストラリア。ローカルな港町、ニューカッスルで仲間とサーフィンに明け暮れる日々を過ごすジェシーは、未熟であるが才能溢れる17歳。内向的な弟ファーガス、喧嘩ばかりするライバル的存在の兄ヴィクター、そして毎日炭鉱で働く父と生活する中、ジェシーは大会で優勝して有名になり、この町を飛び出したいという夢をもつようになる。ところが、気負いと焦りが災いし、大会出場を決める試合で仲間のアンディに負けてしまう。結果を知ったヴィクターからもなじられ、ジェシーの落ち込みは果てしない。ジェシーを慰めるべく、彼が思いを寄せるデブラを誘って計画された週末旅行。気晴らしに出かけたサーフ・トリップでも、抑えきれない十代の感情が恋人デブラや仲間との関係を複雑にしていく。そして旅の最後に起きた取り返しのつかない事故…。
グレン・マーカット展
2008年6月12日-8月9日
オーストラリアの風土、歴史、文化を見つめ続け、その環境との融合が見事に響き合った住宅群で知られる現代建築界の巨匠、グレン・マーカット。オーストラリアの大地に呼応するサステイナブルな建築の魅力をまとめて紹介する展覧会が開催されます。
エアコンなどの設備機器に頼ることなく自然の通風をもたらすプランニングや換気口の配置、光と影・風・害虫をうまくコントロールする可動式ルーバーと網戸とガラス戸の3層の開口、スチール線材や木材といったリサイクル可能な部材と工法など、彼の建築には細部にわたり自然環境と対峙し、その恩恵を最大限に生かす工夫がなされています。その作品の数々は、オーストラリアの美しい自然環境をバックグラウンドにして、まるで大海原で帆船が帆を張っているかように、その謙虚で美しい佇まいを見せてくれます。
「創造するのではなく、発見すること。建築は発見を重ねることであり、それは私には大切なことです。」と語る彼の建築作品の魅力とその人物像を余すことなく紹介する展覧会。ぜひこの機会に足をお運びください。
トレース・エレメンツ 日豪の写真メディアにおける精神と記憶
2008年7月19日-10月13日
日豪の写真メディアのアーティストによるグループ展
ニューメディアやテクノロジーの発達によって、今日、現代美術の文脈における写真表現はますます広がっています。「トレース・エレメンツ—日豪の写真メディアにおける精神と記憶」は、日本とオーストラリアの10名の写真メディアのアーティストと二人のキュレーターが、時間、記憶、身体の知覚、個人と集団の意識と無意識、そしてリアリティについて様々なアプローチで取り組みます。
この展覧会の支柱となる作品として、世界で活躍するアーティスト集団ダムタイプの中心的存在だった古橋悌二の伝説的ソロワーク『LOVERS』を展示。その他、日本のサブカルチャーにも造詣の深いフィリップ・ブロフィのミュージック・クリップを題材にした代表作代表作『蒸発した音楽』、メルボルンを拠点に活躍するジェーン・バートンの白黒写真のシリーズや、19世紀に撮影されたアボリジナルの人々の写真をもとにした、ジェネヴィーヴ・グリーヴスによるインスタレーション『昔の人を撮る』等、写真メディアの新たな表現を開拓する作品が紹介されます。
出来事の「記録」から「記憶創造装置」へと役割を変化させつつある写真メディアは、ありえたかもしれない未来や、他者の記憶に寄り添い、自我の拡張と歴史の再読を促します。「トレース・エレメンツ」は、日豪の文化的な共鳴と差異、時間の流れと死に対する人の脆さと強さ、そして現代の写真メディアに可能なこととは何かを問う良い機会となるでしょう。
アリスター・スペンス・トリオ 来日ツアー
2008年8月24日-31日
東京JAZZ2008にも参加するオーストラリアのコンテンポラリージャズトリオが初来日!
クレイグ・ウォルシュ at 黄金町バザール
2008年9月11日-11月30日
横浜・黄金町の街並み再生事業として、地域とアートの共存をテーマに開かれる「黄金町バザール」に、オーストラリアの映像インスタレーション作家、クレイグ・ウォルシュが参加します。
横浜トリエンナーレやフジロックなど日本でもこれまで大きな話題を呼んできたクレイグ・ウォルシュ。日常の中の非日常をテーマにした数々の奇抜なインスタレーションは、観客にいつも新鮮な驚きを与えてくれます。特に作品を提示する「場所」にこだわり、その背景との対話の中から生み出される作品を制作してきました。ベトナムのハノイで発表された作品では、何気ないオフィスビルのガラス窓が夜になると巨大な水槽となったり、美術館等での展示でもギャラリーの扉の向こうに映像の海が現れたり、といった「場所」の意味を一瞬のうちに鮮やかに変容させる手腕が世界的に高い評価を得ています。今回の作品タイトルは『CLASSIFICATION PENDING』。黄金町を流れる大岡川に不思議な生物を出演させ、地域の新たな伝説作りに挑みます。
黄金町バザールではこの他に地域に新たに出来る2つのアートスタジオをメイン会場とし、約30組のアーティストやショップなどが参加。日本でいま一番アートが元気な街・横浜の新たなムーブメントがここから始まります。
エクスペリメンタル・サウンド・プログラム at 横浜トリエンナーレ2008
2008年9月13日-11月30日
日本を代表する現代美術の祭典、横浜トリエンナーレ。3回目を迎える今回は世界各地の約70人の作家が“TIME CREVASSE”の全体テーマのもとに紹介されます。同じ「時間」を共有することで成立するような、パフォーマティブな作品の数々が今回の特徴です。
オーストラリアからは「What Is Music? フェスティバル」の共同ディレクターで実験音楽家のオレン・アンバーチが来日し、イベント「エクスペリメンタル・サウンド・プログラム」をコーディネート。メルボルンを拠点に活動を続けるサウンド&ビジュアルアーティスト、ロビン・フォックスなど、実験音楽/ノイズの世界の最先端に、日本に居ながらにしてまとめて触れる事のできる貴重な機会です。
都市のディオラマ: Between Site & Space
2008年9月13日-10月13日
トーキョーワンダーサイトは2001年より「メイキング・サイト」をキーワードとして、若手作家への実験の場を提供しています。2006年11月にはTWS青山:クリエーター・イン・レジデンスを開始し、展覧会のみならず滞在制作をサポートしています。
今回、新たに展覧会の交換だけでなく、滞在制作というプロセスの交換も試みるという目的で、シドニーのARTSPACE Visual Arts Centreとの連携をスタート。日本とオーストラリアの若手作家8名6組が同時進行で展開していく滞在制作プロジェクトに加え、展覧会交換プログラムとして本展を開催します。
「都市のディオラマ」と題し、見えない日常の真相にかたちを授ける日豪6組のアーティストたち。日豪のアーティストたちがスタジオ共用を通してどのような共鳴を起こすのか。ご期待ください。
エマニュエル・パユ & オーストラリア室内管弦楽団(ACO)
2008年10月2日-10日
クラシック界のニューウェーブとして世界的に人気を集める、オーストラリア室内管弦楽団(ACO)。今回の来日ツアーでは、人気絶頂のフルート奏者エマニュアル・パユをゲストに迎え、ヴィヴァルディのフルート協奏曲集から4作品を披露。またペルトやベートーヴェン、武満徹など、ACOの魅力を存分にお楽しみ頂けるプログラムが用意されています。
「彼らとのステージは最高に楽しい!」とパユが言うように、リチャード・トネッティが率いるACOの魅力は、スタイリッシュな舞台衣装や時にはスタンディング演奏するステージスタイル、指揮者を置かず奏者の自主性を尊重するなどの新たな試みにあります。「奏者も観客も一緒に音楽を楽しもう」、というACOの舞台は、音楽の本質がコミュニケーションの芸術であることを見事に現していると言えるでしょう。
クラシック初心者にはとっつきやすく、そしてクラシック通をもうならせる演奏に「クラシックはこんなに楽しく、心地よいものだったのか」と新鮮な驚きを感じてもらえるはず。オーストラリアらしい躍動感あふれるステージを、ぜひお楽しみください。
ボーイ・フロム・オズ
2008年10月5日-26日
オーストラリアの国民的スター、ピーター・アレンの波瀾万丈な人生を描いたミュージカル。2005年、2006年と坂本昌行を主演に日本版が上演され大成功をおさめたこの舞台が待望の再々演。主人公ピーター・アレン役の坂本昌行、ライザ・ミネリ役の紫吹淳、IZAM、鳳蘭など、ブロードウェイ版に引けを取らない豪華なキャストが再び集結。劇中ふんだんに盛り込まれたキャストと観客とのやり取りなど、今年も多いに盛り上がること間違いなしです。
ピーター・アレンは1992年にエイズでこの世を去ります。しかしその後も彼の音楽に心を寄せる人々は絶えず、オーストラリアでは彼の生涯を描いたドキュメンタリーの放映や伝記の出版など、国民的スターとして再評価する声が高まりました。そんな中『ボーイ・フロム・オズ』は1998年、シドニーのハー・マジェスティー劇場にて、キャスト、スタッフ全てオーストラリア人による作品として上演がスタート。
若くしてオーストラリアを離れながら常に故郷を忘れず、しかし決して戻ることのなかった彼の人生に、多くのオーストラリアの観客は共感を覚え、作品は大ヒット。それが、生前のピーター・アレンの念願でもあったブロードウェイでの成功へと結果的に実を結びました。『ボーイ・フロム・オズ』は、そんな彼のサクセス・ストーリーでありながら、人生の光と陰、オーストラリアの人々の複雑な思いをも乗せた画期的な作品と言えるでしょう。
文化庁第6回国際文化フォーラム
2008年10月11日-11月30日
「文化の多様性」をテーマに3つの座談会が開催される文化庁第6回国際文化フォーラム。フォーラムの各セッションは、東京(10月11日)、京都(11月9日)、奈良(11月30日)において世界の文化人が議論を交わし、世界に向けて文化のメッセージを発信します。
京都で行われる座談会では "「古典に生きる」〜未来を拓く古典、『源氏物語』" というテーマで、元オーストラリア国立大学教授のロイヤル・タイラー氏による基調講演に続き、パネルディスカッションが行われる予定です。日本古典文学の翻訳家として知られるロイヤル・タイラー氏は2001年に「源氏物語」の完訳を出版し、2002年日米友好基金日本文学翻訳賞を受賞しています。
しんゆり映画祭 オーストラリア特集
2008年10月12日-11月3日
映像専門ホールを持つ「川崎市アートセンター」が新しく誕生した新百合ヶ丘の街を舞台に、今年で14回目を迎えるしんゆり映画祭。今年はオーストラリア特集として『Broken Sun』、『雲の下で』、『Walkabout 美しき冒険旅行』の3本の劇場映画が上映されます。また、千葉茂樹監督作品『映画をつくる子どもたち 〜オーストラリアの挑戦〜』の上映と共に、シネリテラシー・映画教育の提唱者ジェーン・ミルス博士と若手監督が来日し「豪日学生映画フォーラム」を開催。日本の映画教育の先駆け的存在である日本映画学校のある街ならではの特集企画です。
豪日学生映画フォーラムでは、日本やオーストラリアの学生の短編映画も8本紹介。アートと教育の融合という世界的なトレンドの最前線を走るオーストラリア。その現場からの生の声に触れることのできる貴重な機会です。
クイーンズランド州警察音楽隊 in 大阪
2008年10月12日-19日
国際的に数々の賞を授賞しているオーストラリアを代表するマーチングバンド、クイーンズランド州警察音楽隊が大阪府とクイーンズランド州の友好交流提携20周年を記念して来日。「御堂筋kappo」他、大阪各地で開かれるイベントに出演します。
今年で創立50周年を迎えたクイーンズランド州警察音楽隊は、エリザベス女王陛下の前で演奏した事もある由緒ある楽団。クイーンズランド州警察の広報部門の一組織としてブリスベンを拠点に演奏活動を続けています。気持ち良い秋空の下、スコットランドの伝統を受け継ぎ世界で絶賛を浴びるパフォーマンスを皆さんでお楽しみください。
イーデン・ハリス+ヌルディアン・イッサ「no where men」展
2008年10月17日-19日
JENESYS Programmeで国際交流基金により招へいされ、滋賀県立陶芸の森でアーティスト・イン・レジデンスを行ってきた陶芸家イーデン・ハリス(オーストラリア)とヌルディアン・イッサン(インドネシア)が約2ヵ月半にわたるレジデンスで制作した作品を発表する「no where men」展が東京で開かれます。信楽で出会い、寝食を共にし、それぞれが紡いだ時間の中で生み出された作品をぜひご覧下さい。
ルイーザ・ビュファルデチ『Some Material Flags』
2008年10月22日-2009年1月12日
東京都現代美術館がブルームバーグL.P.の協賛を得て国内外の若手アーティスト支援を目的とし進めている「MOT×Bloomberg パブリック・スペースプロジェクト」。10月22日からは、東京都現代美術館の広いエントランス空間にメルボルン生まれのルイーザ・ビュファルデチの作品『いくつかの生地がつくる旗』(Some Material Flags) が展示されます。
コーヒーの消費、携帯電話の利用、アルコールや砂糖の消費、文盲率などの全体の人口に対する比率が、星や円、ストライプ、三日月、ダイヤ型などの形によって示され、日常生活のデータが織り込まれた国旗となります。
大地の絵画-先住民のオーカペインティング-
2008年11月1日-11月9日
西オーストラリア州キンバリー地区にあるワーラム・アートセンターの若手作家マリカ・パトリックが来日し、子どもたちを対象にオーカ(黄土)を用いたペインティングのワークショップを開催。オーストラリアの歴史・自然・先住民の文化・生活などを学びながら、アーティストと共に自由な制作を行います。また開催地近隣の自然を探索し、現場の土を材料にした絵の具作りも行います。
ワーラム・アートセンターは国際的に活躍する先住民・アーティストが数多く所属し、彼らが共同で運営・制作を行うアートセンター。主に現地のオーカ(黄土)を原料とした色鮮やかな絵の具を用いた絵画や版画の制作拠点として機能しています。
ワークショップ開催後は、子供たちの作品を集めた合同展覧会を開催。また、先住民の伝統楽器であるディジュリドゥの日本人プレーヤーによる演奏と、マリカさんのライブペインティングが楽しめる関連イベントも予定されています。
リンダ・デニス at トロールの森2008
2008年11月3日-23日
杉並の閑静な住宅街の中にある都会のオアシス・善福寺公園を主会場として今年で7回目を迎える野外アート展「トロールの森」。今回は日本との関係の深いオーストラリアの作家リンダ・デニスの他、12人の国内外のアーティストが参加します。
会期中、出品作家自身が作品を案内するアートツアーをはじめ、関連イベントも開催予定。芸術の秋、大きな池を抱える森の公園を散策しながら、それぞれの作家の奇抜で多様な作品に触れることで、世界を見つめる新たな視点を発見してください。
ジュリアン展"Natural Journeys"
2008年12月1日-2009年1月10日
オーストラリア出身・東京在住の画家ジュリアンの個展が開催されています。自然から多くのインスピレーションを受け「自分と作品との間に「気」の対話がある」と語る彼女の作品は、墨絵を学んだバックグラウンドと相まって、彼女独特の感情とエネルギーを発しています。
絵画を描くと同時に音楽創作活動もしている彼女。その時々の感覚で作られる作品もあれば、ゆっくりと時間をかけて絵を描くように長編の曲も作曲しています。そんな彼女の世界をゆっくりとお楽しみください。
ヨーロッパ・アジア・パシフィック 建築の新潮流 2008-2010
2008年12月5日-6日
ヨーロッパとアジア・パシフィックの優れた若手建築家を紹介する国際プロジェクト「建築の新潮流」が最終回を迎えます。今回は伊東豊雄、ピーター・クック両氏をコミッショナーに迎え、15ヵ国15組の建築家が選ばれました。12月の東京展を皮切りに、世界各都市を巡回予定です。オーストラリアからは実際的で詩的、そして持続可能な建築で注目を浴びるペンダル&ニールが紹介されます。
楽天団公演『ウィンドミル・ベイビー』
2008年12月17日-21日
オーストラリアの戯曲を数多く日本に紹介している演劇企画集団・楽天団。アボリジニ現代戯曲連続上演 vol.7として上演されるのは、2003年にアボリジニ作品として初めてパトリック・ホワイト賞を受賞した、David Millroyの代表作「ウィンドミル・ベイビー」。可笑しくて悲しいこのおとぎ話の登場人物12人全てを、「アイ・ラブ坊ちゃん」や「雪の女王」等、数多くの舞台経験を持つベテラン女優・大方斐紗子が一人で演じます。
Story
西オーストラリア北部のある牧場にやってくるアボリジニの老女・メイメイ。自分が洗濯女としてそこで働いていた過去を振り返る。メイメイは、牧夫のマルバーンを料理女のサリーと取り合った末に結婚する。メイメイは身ごもり、夫は彼女にルビーの指輪を贈って赤ん坊が女の子であればルビーと名付けることを決める。しかし冷酷な白人の主人に過酷な労働を強いられ、最初の子どもを早産で亡くしてしまう。
サリーは身体の不自由な庭師のワンマンに好意を寄せていたが、ワンマンは白人の奥さんを好いている。酒を飲むと荒れて、妻や使用人に辛くあたる白人の主人は子どもを欲しがっていないが、やがて奥さんに子が宿る。そしてその悲しい出来事が起こり、そこにメイメイも巻き込まれていく...。
David Millroy
劇作家、ドラマターグ、演出家、ミュージシャン。1957年、西オーストラリア州パースで生まれる。家系は西オーストラリア北西部のPalku族。2003年に『ウィンドミル・ベイビー』で権威あるパトリック・ホワイト賞を受賞。発の単独受賞だっただけでなく、初のアボリジニ作品の受賞であったことで、新たな歴史を築いた。その後も2006年度WAエクイティ賞、2006年度デッドリー賞、2007年度ケート・チャリスRAKA賞などを受賞。
2003年1月までYirra Yaakinニューンガ・シアターの芸術監督を務め、同シアター最後の作品として『Karl Karniny(ウェルカム・トゥ・マイ・ファイヤー)』を執筆、演出。この他多数の芝居を執筆、共同執筆、演出し、作曲や音楽監督を務めた作品も数多い。
月刊ヤマガタ12月号:メリッサ・リー特集
2008年12月22日
アジア初の国際ドキュメンタリー映画祭として1989年に始まり、今や世界を代表する映画祭の1つとなった山形国際ドキュメンタリー映画祭。そのフィルムライブラリーにあるドキュメンタリーの名作を毎月紹介する企画上映「月刊ヤマガタ」がこの秋から始まりました。12月号ではオーストラリア在住のメリッサ・リー監督の2001年の話題作『夢の中で』と『愛についての実話』が上映されます。この2作は2001年のアジア部門小川紳介賞(グランプリ)を受賞。その年の審査員の1人、故・佐藤真監督に大絶賛され、彼女が映画界から一躍注目を集めるきっかけとなった話題作です。
オーストラリアに生きる韓国移民2世として、典型的な保守系思想の両親に反発し家を飛び出した高校生メリッサ。7年間の絶縁を経た彼女が作った『夢の中で』は、いわゆる「優等生的」な和解のメッセージ。それを「愛についての実話」と併せて見ることで初めて「コリアン」でありまた「オーストラリアン」でもある彼女の素顔を見せてくれます。
今回の上映では、山形国際映画祭の第一回から通訳として活躍する山之内悦子さんをゲストに、「多文化社会の家族と恋愛」についてのトークも開催されます。