Australian Embassy Tokyo
在日オーストラリア大使館

オーストラリア自然庭園

設計: ジェイソン・シャー
協力: アレックス・アキラ・エンドウ
施工: ジェイソン・シャー、サイモン・ハドロー、ドナート・フンテ

 

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ジェイソン・シャーのデザインによる新しいオーストラリア自然庭園

オーストラリア自然庭園ができたのは、ある意味自然の流れによるものでした。元々は芝生が生えているだけの土地で、植物もほとんどなく、大使館スタッフや住民もほとんどここに足を運ぶことはありませんでした。そこで、典型的なオーストラリアの風景を作り出すため、オーストラリア産の植物から成る「オーストラリア自然庭園」を造ることが提案されました。

オーストラリアの植物を、見た目だけでなく香りも楽しんでもらい、周辺の日本庭園や芝生部分と切り離した形、もしくは融合させた形で利用できるように設計されました。

オーストラリア自然庭園を造った理由

  • オーストラリアの植物、庭園設計、施工法を紹介するため
  • 各州花の紹介をするため
  • 切花として使用するため
  • よく手入れされた日本庭園とのコントラストとして
  • オーストラリア産の食物栽培の可能性
  • くつろぎの場を提供するため
  • 文化的アイデンティティを表現するため
  • 鳥を呼び寄せるため
  • メンテナンスがあまり必要ないため
  • 将来ガーデンワークショップ開催の可能性

 

庭園設計上の原則

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小石の河原とその上にかかるまくら木の橋があるエリア

 

  • 建物や通路の周りの固いコンクリートやステンレスのハードなイメージにやわらかさを足すために木材の縁、デッキ、まくら木が使われています。
  • まくら木の小道を、木材のデッキまで曲線を描きながら庭園を横切るように造りました。庭園を単に見て楽しむのではなく、庭園の中に自分がいることが感じられます。
  • ゲイトハウスと大使公邸の間にアカシア(約3メートルまで成長し、春には鮮やかな黄色の花を咲かせる)を植えることにより、庭園にプライバシーを与え、両庭園からは鮮やかな春の色が見えるようにしました。
  • 全ての植物は、日本の涼しい天候に耐えられること、花、サイズを基準に選ばれました。
  • 図書館の壁に沿って植えられているメラレウカ・アルミラリス(Melaleuca armillaris)とメラレウカ・タイムフォリア(Melaleuca thymifolia)には、図書館側の冷却効果があると共に、 庭園に美的満足感を与えます。
  • ちょっとした催し、文化イベントに利用できる場、またリラックスできる場を提供します。
  • 夜間になると、まくら木の切り株からこぼれる照明の光が静かな雰囲気を醸し出します。
  • 今後はボロニア・ミクロフィラ(Boronia microphylla)などその他の種類の植物も増やし、通常日本庭園では見られない、香りのある庭園にする予定です。
  • サイズの異なる小石の河原とその上にかかるまくら木の橋は、庭園のバランスを取るために造られました。

 

造園前

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造園前の一画

 

この場所は造園前、大使館事務棟(図書館)の外部壁面に向かって傾斜した小さな芝生の一画でした。冬の間、植物は休眠しており、壁伝いに植えられた5つのToona sinesis(中国産ヒマラヤスギ)も葉を全て落とし、一年の半分は殺風景なところでした。以前からあった地被植物のHedra helix (コモンアイビー)がゲイトハウスの一角を覆っており、手入れされていない、乱雑な雰囲気になっていました。Hedra helixはオーストラリア産の植物ではなく、国内では雑草の一種と考えられていますが、他の雑草が拡がるのを防ぐ役目をする、比較的よい地被植物です。いずれは、オーストラリア産の地被植物に植え替える予定です。

手前半分の部分には、Poa pratensis (ケンタッキーブルーグラス)が植えられました。ここは芝生エリアとして今後これ以上手を入れる予定はありません。

 

マルチ

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マルチに囲まれたスターツ・デザート・ピー(Swainsona formosa)

 

最近オーストラリアではマルチが幅広く庭園に使われています。日本の場合、伝統的な日本庭園は岩屑や落ち葉をきれいに取り除くため、マルチが使われることは大変まれであり、庭園用のマルチ(ウッドチップ)を探すのは大変でした。

マルチの利点:

  • 冬の間、霜から根を保護し、夏の間は、土の温度を均等に保ちます。
  • 土壌水分の蒸発を防止し、水分保持力を高めます。
  • 土に栄養を与えながら、ゆっくりと堆肥に分解します。
  • 土の湿気を保ちます。
  • 雑草の制限 - 毎回雑草を取り除く時間を節約します。
  • 風や雨による土の腐食を防ぎます。
  • 見た目が洗練され、美的満足感を得られます。