Australian Embassy Tokyo
在日オーストラリア大使館

2050年温室効果ガス排出量実質ゼロの目標に向けて

2021年10月26日

 

スコット・モリソン首相とアンガス・テイラー 産業・エネルギー・排出削減担当大臣は10月26日、以下の声明を発表した。

 

モリソン政権は2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロの実現に、実践的かつ責任ある形で取り組むと共に、オーストラリア国民の雇用を確保し、産業界や地方のための機会の創出に取り組む。

スコット・モリソン首相とアンガス・テイラー産業・エネルギー・排出削減担当大臣は、2050年までの排出量実質ゼロの実現に向け、オーストラリアの長期排出量削減計画を本日発表した。

技術主導による本計画は、2050年までに排出量実質ゼロを達成する確かな道筋を示している。また同時に既存の産業を守り、低排出技術のリーダーとしてのオーストラリアの地位を確立すると共に、地方の繁栄をもたらすものである。

本計画はわが国の既存の政策を基盤としており、排出量実質ゼロ経済への転換により、産業界や地方、雇用が危機に晒されないための5つの原則に導かれることになる。

この5つの原則とは、以下の内容を指す。(1)税金ではなく、技術を活用する (2)選択の拡大であり、義務の拡大ではない (3)各種新技術の費用を削減する (4)電力の料金抑制と供給の信頼性を確保し、エネルギー価格を引き下げる (5)進捗状況を説明する。

本計画では、技術費用の低減と、経済全体への広範な技術展開の加速化に主眼を置いている。

すでに決定している低排出技術への200億豪ドル規模の投資は、クリーン水素や二酸化炭素の回収・貯留(CCS)、エネルギー貯蔵技術を含め、今後10年間で、最低でも総額800億豪ドルの民間・公共投資を誘発すると予想される。

本計画はまた、太陽光設備の設置費用を大幅に低減する技術の継続的発展や躍進の可能性を記している。毎年行われる技術投資のためのロードマップの改定において、政府は野心的な目標として、メガワット時あたりの太陽光発電コストを15豪ドルに設定した。オーストラリアは再生可能エネルギーにおける世界のリーダーであり、廉価でクリーンな電気は、わが国の電力部門や他の産業分野の排出量を減らす上で、欠かせない存在である。

本計画は、わが国が優先的技術により、2050年までの実質ゼロの実現に必要な排出量85パーセントの削減を、どのように実現するのかを説明している。こうした目標は、わが国のこれまでの実績を通じて達成される。わが国の排出量は、すでに2005年比で20パーセント以上減っており、技術投資のためのロードマップでは、約40パーセントの排出量削減を打ち出している。さらには、世界の技術的動向による15パーセントの削減、信頼できるカーボン・オフセットを通じた、最低10パーセントのさらなる減少を見込んでいる。

本計画では、目標の達成にあたって将来の技術的飛躍が果たす役割を認めており、未来の技術や新興技術によって、2050年までにさらに15パーセントの削減が可能であると結論している。

また、ここでは新税の導入または法制化といった手法が除外されている。こうした逆進的な手段は、支払いの余地が乏しい家庭や企業、地方などに費用の負担を強いるためである。

本計画は5年ごとの見直しを定めており、これにより進捗状況の評価や、技術の発展への適応が可能となる。

本計画は今後もオーストラリアの排出量を減らし、経済の発展を推し進める一方、エネルギー価格を抑え、その信頼性を維持すると共に、地方の力強さを保つものであると、モリソン首相は述べている。

「オーストラリアは今、2050年までの排出量実質ゼロの実現を目指している。わが国はこれを達成するための明確な計画を持っている。」と、首相は説明している。「本計画は、オーストラリアの国益につながる排出量実質ゼロを実現するための責任ある、具体的な行動についてまとめている。」

「本計画は税金ではなく、技術を通じて成果を実現する。国民の選択を尊重するもので、国民が何を行い、何を買うべきかを命令するものではない。またエネルギー価格に押し下げ圧力を加えると共に、電力の信頼性を確保するものである。そして新たな経済の機会を活用する一方で、オーストラリアが引き続き、伝統的な市場に奉仕していくためのものである。」

「本計画は、オーストラリアの地方の繁栄と幸福をその中心に据えている。わが国には現在、地方の既存の力を活用し、新しい成長分野を切り開くと共に、地方の経済活動を多様化するための機会が存在する。こうした機会が成功を収め、本計画の下で守られるよう、遠隔地や地方に投資を行っていく。」

「オーストラリアは排出量削減の実績をさらに推し進め、わが国のやり方で目標を達成する。」

オーストラリアによる排出量の削減は、一貫して成果を生み出してきた事象のひとつであり、長期排出量削減計画はわが国のために作られたものであると、テイラー大臣は語っている。

「本計画はこれまでに実施し、成功してきた政策や措置を引き継ぐ一方、同時に既存の産業や雇用を守り、地方を支援するものである。」と、大臣は説明している。「これは石炭あるいはガスの生産を停止するものではなく、生産的な農地の放棄を要求するものでもない。」

「オーストラリアの排出量は2005年から2021年にかけて、20.8パーセントも減少した。これは米国やカナダ、ニュージーランド、世界の他の全てのコモディティ輸出国の下げ幅を上回る。最近の見通しによると、わが国は2030年までに最大35パーセント排出量が減ると予想されている。」

「本計画と技術投資のためのロードマップ、及び世界的動向により、2050年までにわが国の排出量は85パーセント削減されると見込まれる。私たちは自由党や国民党の価値観に沿う形で、今後30年間に排出量実質ゼロを実現させる点にコミットしている。」

「本計画は、一連の主要原則を土台としており、最も重要なのは新税の導入ではなく、技術であると捉えている。労働党と異なり、私たちはオーストラリアの雇用を海外に移転させ、電気や他の必需品の値上げを通じ、地域社会の最も弱い人々を罰するような炭素税を導入しない。」

本日発表された公式の最新予測によると、オーストラリアは目標としていた26−28パーセントを大きく上回り、2030年までに、最大35パーセントの排出量削減を達成する方向に向かっている。

本計画は、こうした流れを維持するものと思われる。

本計画の内容は、こちらで閲覧可能: Australia’s Long-Term Emissions Reduction Plan | Department of Industry, Science, Energy and Resources

 

より詳しい情報はこちらまで:Australia's making positive energy | Positive Energy 予測内容へのリンクあり