Australian Embassy Tokyo
在日オーストラリア大使館

オーストラリアのやり方で

スコット・モリソン

オーストラリア首相

2021年10月26日

 

オーストラリア国民は、気候変動における行動を求めている。そして私も同様である。

だが国民は、電気料金が大幅に上昇したり、電気が止まる、あるいは雇用が危機に晒されたり、遠隔地や地方の暮らしが犠牲になるのを望んではいない。

オーストラリア国民が求めるのは、気候変動に正しく対処し、変わりゆく世界の中で未来を確かなものとするような、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを実現させる計画である。国民はまた、公平で具体的な計画を望んでいる。

遠隔地や地方に暮らす人々は、気候変動の影響について、都市に暮らす私たちよりもはるかに良く知っている。遠隔地や地方に住むオーストラリア国民、特に鉱業や農業などの伝統的産業に依存する人々が、気候変動の行動で生じる負担を不当に背負うことがあってはならない。

こうした均衡をうまくとる上で信頼できるのは、自由党と国民党の協力をおいて他にない。

私たちは直面する脅威と共に、実現可能な機会についても理解している。

自由党と国民党にとってこの20年間、気候変動とその遠隔地や地方への影響ほどに困難な課題はほとんど存在しなかった。

2050年までに排出量実質ゼロの目標を達成する計画に合意するという決定は、軽々しくなされたものではない。

この点に関し、遠隔地や地方を中心とする、あらゆる結果や影響に対する入念な検討なしに合意したわけでは全くない。

私たちは際限なく資金を提供する約束をしたわけではないし、今後もそうした行為を行わない。労働党のように、排出量ゼロ実現のために新税を導入したわけでもなく、将来もそうした政策を実行しない。そうすれば国民に支払いの負担が生じる。

海外での決定は、世界経済に主要な変化をもたらしており、良い意味でも悪い意味でも、オーストラリアの将来の展望に影響を与える。

私は首相として、こうした変化が引き起こす否定的な影響からわが国を守る決意でいる。同時に、とりわけ遠隔地や地方で生み出される、多くの機会を活用できるようにしていく所存である。

グラスゴーでは、オーストラリアは引き続き自らの役割を果たす点を確認する。2050年までに排出量実質ゼロを実現する目標を設定し、そのための明確な計画を用意する。実現のための計画なしには、2050年までに排出量実質ゼロを実現する目標を設定しないと、これまで常に述べてきた。だが今では、その計画が策定されている。

私たちはこれを、オーストラリア流のやり方で行う。これを技術によって行うのであり、新税の導入によってではない。国民の選択への尊重を通じて行うのであり、国民が何を行い、何を買うべきかについて命令を施行したりはしない。産業や地方の活動を維持し、家庭の電気料金を引き下げると共に、エネルギー価格を抑え、その信頼性を維持することでこれを行う。また私たちが実現している内容に透明性を与え、他国にも透明性を期待することで実現していく。

私たちは遠隔地や地域が成功を収め、長期排出量削減計画の下で守られるよう、こうした地域に投資を行う。

国際社会に対しては、オーストラリアは実際、2005年比で20パーセント以上の削減を実現させている点を再認識してもらう。この下げ幅はニュージーランドやカナダ、日本、米国を上回る。私たちはすでに2020年の削減目標を達成しており、2030年の目標に到達し、これを超えるような順調な歩みを見せている。

オーストラリアを理解しない者たちから、説教を受ける必要はない。オーストラリアのやり方(The Australian Way)とは、どのようにやるのかについてのものであり、やるのか否かという問題ではない。あくまで物事を成し遂げることなのだ。

私たちはまた、2030年の削減目標の変更によって、前回の選挙の公約を破ることは行わない。この目標を達成し、これを超えると述べたが、実際そうなるであろう。グラスゴーでは実現を確信している点について最新状況を報告し、実績には空虚な志以上の価値がある点を伝えたい。これこそがオーストラリアのやり方である。

排出量実質ゼロへの道のりはまた、まっすぐではない。事実、ビル・ゲイツ氏が言うように、非現実的な目標で2030年までに成果を強要することは、2050年までの目標達成に欠かせない、より長い準備期間を要する技術への資源の投入を困難にする可能性がある。私たちはこのため、納得のいくコミットメントを行うと共に、目標を超えるために最善を尽くしていく。

この手法の鍵となるのは、水素や低コストの太陽エネルギーといった、新エネルギー技術への投資である。わが国の製造業や資源、農業、輸送部門はこれにより、特に遠隔地や地方において未来を確かなものにできる。

これらの技術については、技術投資のためのロードマップに記載されている。

鉱業のような重工業には、世界の需要が許す限り存続できるよう、開かれた姿勢を持って競争力を維持すると共に、状況に適応していってもらいたい。

私たちは資源産業や農業の閉鎖や廃業を強いるような、いかなる国内外の命令も支持しない。

これまでも、正しく行うために直面されるべき困難な課題に取り組む際には、時間を費やしてきた。気候変動への取り組みに関し、私たちは国民の懸念や強い要望に注意深く耳を傾け、これらを理解してきた。

最終的には、全ては取り組むための信頼できる計画があるかどうかに尽きる。もはや、やるか否かの問題ではなく、いかに行うかの問題である。そして、わが国が気候変動がもたらす課題に対処するための正しい経済計画を持っていると、国民は常に連立政権を信頼することができる。