オーストラリアの建築家で、母国の気候風土や自然エネルギーを活かした持続可能な建築で有名なグレン・マーカット氏が、第32回 高松宮殿下記念世界文化賞受賞(建築部門)を受賞しました。オーストラリア人として同賞を受賞するのは、マーカット氏が初めてです。
新型コロナウイルスの感染拡大防止対応策として、日本で開催予定だった授賞式およびその関連事業は実施されず、2021年12月14日(火)にキャンベラの在オーストラリア日本国大使館の大使公邸において、山上信吾大使よりマーカット氏へ顕彰メダルと感謝状が贈られました。
大地に根差し、その土地の気候風土に寄り添うサステナブルな建築で世界的に知られているマーカット氏。オーストラリアの自然環境を重視し、建築デザインにおいてはコンピュータを敬遠。手描きや目と手で考えることの速さを今でも大切にしています。
マーカット氏にとって建築のプロセスとは「創造するのではなく、発見すること」であり、「発見することは、誰にでもできる。それが私にとってとても重要なことなのです」と述べています。(世界文化賞グレン・マーカット氏インタビューより:https://www.youtube.com/user/PraemiumImperiale/videos Courtesy of The Japan Art Association)
今回のマーカット氏の世界文化賞受賞をうけてジャン・アダムズ駐日大使は、
「オーストラリア人として初めて、世界で最も権威ある賞の一つである高松宮殿下記念世界文化賞(建築部門)を受賞されたマーカット氏に祝意を表します」
「その国の言語を話し、文化や歴史を知り、気候、土壌、植生など幅広く理解することを重視するため、オーストラリアで建築を手掛けるマーカット氏の姿勢は、自然に寄り添い、これから私たちが目指していくべきサステナブルな建築の指標にもなるでしょう」とコメントしました。
妥協のない仕事をするためにスタッフは抱えず、特別な場合を除いては、建築に関わる全過程を一人でこなしてきたマーカット氏。これまでに450件以上のプロジェクトに携わってきましたが、今後の活動にも意欲を示しています。
マーカット氏の建築のように、オーストラリアでは「サステイナビリティ」を重視した建築が多く作られています。
2018年に日本で行われた「オーストラリア now 2018」プログラムの一つとして開かれた「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」展においても、その一例として、ウェンディ・ルーウィン氏とグレン・マーカット氏による『オーストラリアン・オパール・センター』が紹介されました。
<「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」展 (2018年)>
https://australianow2018.com/program/universal-principles
https://australianow2018.com/news/20180713-34