第2次世界大戦で戦死された方の大切な遺品が、福島県郡山市で開かれた式典でご遺族の元に返還されました。寄せ書きの入った日章旗は、1944年3月25日にインパール作戦で戦死した旧日本軍の兵士、阿部睦雄さんのものでした。この度、阿部さんのご家族に日章旗が返還されるに至ったのは、日豪間の和解と70年間にわたって育まれた両国間の深い友情を象徴する出来事です。
豪州海軍の掃海艇ストラハンに乗艦していたチャールズワース氏が終戦の際、この日章旗を入手し、その後家族に引き継がれました。孫にあたるリアム・チャールズワースさんが昨年、在日オーストラリア大使館に連絡を取り、本来の持ち主に日章旗を返還するための支援を依頼しました。
日本遺族会を通じ、日章旗は旧日本軍の兵士だった阿部睦雄さんの遺品と判明しました。同会は、丸75年後の命日にあたる2019年3月25日に故郷の郡山市で返還式を執り行えるよう協力しました。義妹の阿部匡子さんが、リチャード・コート駐日オーストラリア大使ならびに返還式のために南オーストラリア州から来日したリアムさんより日章旗を受け取りました。
コート大使は返還式の挨拶で、丸75年後の命日に日章旗を返還できたことは素晴らしい出来事であり、ご遺族にとっては大変特別な瞬間だったでしょう、と語りました。さらに、「睦雄さんとチャールズワースさんは、今日の強固な日豪関係をとても想像できなかっただろう。それでもお二人は、双方のご家族の皆様が郡山で開かれた返還式に集まったことを誇らしく思っているだろう」と述べました。